【用途】
パラフェニレンジアミンは染毛剤の中でもっとも多く使用されている酸化型永久染毛剤の主成分
【感作されやすい職業】
理美容師におけるパラフェニレンジアミンのパッチテスト陽性率は80-95%と報告されている
【問題点】
この物質に化学構造が類似した他の物質にも反応を起こすことがあり、これを交差反応と呼ぶが、衣類などの染料として使用されるパラアミノベンゼンと、化粧品色素として使用される赤色225号、ゴムの老化防止剤、サルファ剤などがある。
また、ジアミン系占領やアミノフェノール類などの繊毛剤成分との交差反応もあるため、パラフェニレンジアミンにアレルギーがある場合には、すべての酸化染毛剤との接触を避けた方が無難である。
しかし、非酸化型の永久染毛剤はパラフェニレンジアミンを含まない代わりに、色調が限られ、パーマがかかりにくくなるため、あまり使用されない。
【対策】
□ グローブの着用
ヘアカラー、洗髪、ワインディング施行時はグローブを着用する。
皮膚保護剤のみのとふだけでは不十分である。
グローブは肘まであるようなものが望ましく、染色したばかりの髪に直接触らない様に気をつける。
□ スキンケア
軽微な症状であっても早期に受診する。こまめに手洗い、保湿を行う。
また、アトピー性皮膚炎を合併していると増悪することがあるため、合併症があるときには定期受診を行う。
□ 教育・理解
発症すると離職率が高くなることが報告されており、
手荒れが強いときには、労災として数日休業することも検討する。
【参考文献】
松永佳世子,他:皮膚 31:167-175,1989
須永匡彦,他:日本公衆衛生雑誌 39:714-719,1992
西岡和恵:Journal of Environmental Dermatology and Cutaneous Allergology 1:181-188,2007
中山秀夫:皮膚病診療 28(増):157-162,2006
片岡葉子:アレルギーの臨床 25:1081-1085,2005
有巣加余子,他:皮膚 33:382-389,1991
中山秀夫:皮膚病診療 28(増):157-162,2006
Commenti